[Coupaサプライチェーンブログ]

サプライチェーンにおける収益性の高いサステナビリティ・ソリューション


(本ブログはProfitable Sustainability Solutions for Supply Chainsの抄訳です。)

アースデイをはじめ地球環境について考える機運が世界中で高まっており、ビジネスにおいても多くの企業が自社のサプライチェーン・サステナビリティに向けたと取り組みの見直しを行っています。最近の世界経済の混乱やコストの上昇を受けて、多くのサプライチェーンリーダーは、サステナビリティとリスク軽減、事業継続性、利益の間に直接的な相関関係があると考えるようになっています。

グローバルなモノの動きには大量の輸送が伴うため、世界で増加している二酸化炭素排出量のうち、サプライチェーンが占める割合は依然として大きなものです。しかし、サプライチェーンはサステナビリティに極めて大きな影響を及ぼすため、一見小さいように思える改善でも、環境に大きなプラスの影響を与えることができます。

適切なデータを入手してサプライチェーン分析を行い意思決定プロセスを精緻化している組織の多くは、持続可能なサプライチェーンの新たな手法が、地球や私たちのクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)だけでなく、自社の利益にもプラスの影響を生み出していることに気づいています。

サステナビリティのポイント

温室効果ガスによる温暖化への影響を追跡している米国海洋大気庁(NOAA)の年次温室効果ガス指標は、1990年の時点から41%上昇しています。環境への脅威の高まりを受けて、昨年は多くの組織がサステナビリティに関する大胆なコミットメントを表明しました。アップルは、製品とサプライチェーンの温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを2030年までに達成する目標を発表しました。マイクロソフトは、排出するより多くのCO2を削減するカーボンネガティブを2030年までに実現し、また1975 年の創業以来、直接的および電力消費により間接的に排出してきたCO2の環境への影響を 2050年までに完全に排除することを約束しました。化粧品メーカーのロレアルは、2030年までに製品のパッケージに使用するプラスチックをリサイクルまたはバイオベースに100%切り替えることを発表しています。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の報告書『2020 State of Supply Chain Sustainability(サプライチェーンにおけるサステナビリティの現状2020年版)』によると、サプライチェーンのサステナビリティに関して何らかの目標を掲げている企業は、今や約半数に達しています。しかし、こうした目標のほとんどは児童労働の削減や公正な取引の確保に関するものです。CO2排出量やエネルギー管理の問題が最優先だと回答した企業は、全体の4分の1以下にとどまっています。

多くの企業は、バランスシートに悪影響がない限り、サステナビリティにとっていかにサプライチェーンデザインが重要かを認識していません。コロナ禍は、長年にわたって変化しなかったサプライチェーンが持つリスクに対して目を開かせる契機となりました。アクセンチュアの最近の報告書によると、フォーチュン1000の企業のうち、コロナ禍でサプライチェーンに混乱が生じたと回答した企業は全体の94%に上り、ビジネスにマイナスの影響があったと回答した企業は4分の3に達しました。2021年3月に発生したスエズ運河での大型コンテナ船座礁事故は、世界のサプライチェーンをさらに圧迫することになり、海運関連情報サービスのロイズリストによると、世界経済の貿易損失は1時間あたり最大4億ドルに達しました。

リデュース、リユース、リサイクル

地球の片側で製品を作り、反対側で消費者に販売するとなれば、常にリスクがつきまとい、大量のエネルギーが必要となります。企業はニアショアリングの評価や導入を進めており、サプライチェーンはより短く、よりスマートに、そしてより循環型になるべきとのコンセンサスが高まっています。

アースデイの指針である「リデュース、リユース、リサイクル」のコンセプトをサプライチェーンのオペレーションに適用することで、廃棄物を減らし、循環型経済モデルによって効率を高め、さらには利益を押し上げることもできます。

リデュース: 輸送や廃棄物のリデュースは、サプライチェーンのサステナビリティに大きな影響を及ぼします。在庫戦略を精緻化することで、地球の健全性を大いに改善できるのです。例えば、拠点配置を最適化することで、サプライチェーンの走行距離を減らし、石油の使用を削減できます。また、在庫を適切に管理すると、サプライチェーンでの無駄な冷暖房システムに使う再生不能エネルギーの消費を減らし、製品の期限切れやサプライチェーンからの廃棄物を削減することもできます。

リユース: 材料のリユースも、サプライチェーンのサステナビリティを高める方法の1つです。従来のサプライチェーンモデルは一方向的で、製品は調達 >製造 > 流通と流れ、最終的には埋立地で処分されていました。最近では、使用済み製品管理やプラスチックの削減目標、廃棄物ゼロのオペレーションなど、各社がよりサーキュラーエコノミー(循環型の経済)目標を表明しています。サプライチェーンの担当幹部は、サプライチェーンの中で入出力ループを生み出す取り組みを強化することになるでしょう。また、リバースロジスティクスやPaaS(Product as a Service)ビジネスモデル、使用済みインプットの売却などを支援するため、多くの企業が変化に適応したり変化に挑んでいく必要があります。たとえば日産自動車では、2021年に米国で発売した新型SUV「ローグ」のアルミニウム製部品をクローズドループでリサイクルするプロセスを導入し、CO2の排出量を削減しています。

リサイクル: パッケージや製品、その他の材料をリサイクルすることで、サプライチェーンのカーボンフットプリントを削減することができます。また、CO2の排出量を削減できる資源抽出、廃棄物処理、製品再利用方法もあります。プリンターのカートリッジやコーヒーのカプセル、古い電子機器などを回収に出す場合も、進んで協力しようとする消費者が増えています。北米紙容器協議会が実施した全米規模の調査によると、コロナ禍でリサイクルの量が増えたと回答した消費者は3分の1に達しました。

持続可能な意思決定のためのインテリジェンス

サステナビリティの取り組みはこれまで、主に企業の社会的責任(CSR)や組織の他の要因に基づいて推進されていましたが、現在では多くの企業が、サプライチェーンをサステナビリティの目標を実現するための主要な原動力と認識しています。

より持続可能なサプライチェーンへの道は多岐にわたります。変化への取り組みとそのペースは、地理的条件や業界、規制環境、金融市場の影響を受けます。サプライチェーンのサステナビリティを引き上げるには長期的な観点から計画する必要がありますが、組織がその過程を理解するためにはデータとアルゴリズムによるインテリジェンスの活用が有効です。意思決定者は、サプライチェーンのデジタルツインを使って起こり得る結果を事前に検証することで、こうした複雑な取り組みをより効果的に実施することができます。

サプライチェーン領域と購買領域で豊富な経験を持つCoupaのサプライチェーンモデル化ツールを利用すれば、企業は自社ネットワークのデジタルツインを構築して、広範囲に及ぶ詳細な「what-if」分析やシナリオ検証を実施し、コスト、サービス、リスク、サステナビリティの観点から、意思決定があらゆる領域に及ぼす影響を確認できるようになります。弊社は、皆様と一緒になってサステナビリティに対する取り組みを行うことを楽しみにしております。





[参考資料]
弊社Webサイトでは、BSM(ビジネス・スペンド・マネジメント)やサプライチェーンなどの日本語参考資料を公開しています。併せてご覧ください。

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