「最適化」はすべてのサプライチェーンに必要不可欠なことですが、国際保健(Global Health)サプライチェーンとなると、それは生死にも関わる重大な問題になりえます。発展途上国の一部では、予防接種、診断テスト、その他救命用品を市民に供給する上での課題に直面しています。これら救命用品の入手困難さは、サプライチェーンが非効率であるということと深く結びついています。このブログでは、救命用品の入手機会や輸送の効率性を向上するための国際保健サプライチェーンの取り組みを、Coupaがどのように支援しているかについてご紹介したいと思います。
1.救命用品の輸送経路最適化
国際保健に関するサプライチェーンは、最速かつ最も効率的な経路を見つけるだけでなく、救命用品の輸送に最も適した輸送モードも見極めなければなりません。国際保健サプライチェーンにおいては、さらに、こうした通常の輸送最適化の検討に加え、低・中所得国特有のさまざまな課題にも直面しています。
課題のひとつには、配送経路を計画する際に必要な道路網の情報が一般にデジタル公開されていないことが挙げられます。Coupaは、この課題を打開すべく、興味深いプロセスでマップを作成することに取り組んできました。CoupaのパートナーであるJohn Snow Inc (JSI)社協力のもと、輸送用トラックに搭載された既存のGPS追跡装置からのデータを活用しました。このGPS追跡装置は、2分毎に人工衛星に現在位置を知らせます。この情報を蓄積して、道路上での現在位置を正確にマップ上に表示させたり、移動スピード・距離の計算を行ったのです。
別の課題として、雨季に道路状況に影響を与える「天候」が挙げられます。雨は洪水につながることもあり、移動に一層時間がかかるため、供給品を必要としている人々に届けることがより難しくなります。
さまざまな変化や課題があるにもかかわらず、LLamasoft テクノロジーは、こうした状況が変化する中でも国際保健サプライチェーンが機能するロバストな計画を立て、人命を助けるための供給品を最適な方法で輸送できるよう支援しています。
2.さまざまな特徴を持った供給品の配送計画をサポート
保健サプライチェーンにおいて、供給品の理想的な配送方法を判断するための要因はたくさんあります。ヘビ抗毒素は温度制御が必要なうえ、その需要は特定の地域でのみ散発的に発生し、さらに需要が発生するタイミングは予測不可能という手間のかかる高価なアイテムです。そのため、抗毒素は需要が発生したときに配送するやり方が適しています。抗レトロウイルス薬(ARV)や抗HIV薬の場合、需要が比較的予測可能なため(通常HIV感染者は一生涯服用し続けるため)、定期的に配送することができます。別の製品例としては、長期的殺虫効果のある殺虫剤含有ネット(LLINS)、すなわち蚊帳(マラリア感染を減らす重要な役割を担っている製品)があります。蚊帳は「ばら積み」ができ、長期保存も可能で、数年に一度交換すればよいもののため、特別に計画したキャンペーン等で配送することが可能です。
このように特性が様々異なるため、冷蔵・冷凍トラックからUAV (無人航空機)に至るまで、最適な輸送モードを特定する必要性もあります。CoupaパートナーであるZipline社の革新的な輸送モード(UAV)の活用ついて、フォーブスに掲載されたこちらの記事をぜひご一読ください。
Coupaは、グローバルサプライチェーンの中で、どの供給品をそれぞれの保健医療施設に保管しておくのが良いのか、どのくらいの頻度で配送することが最適となるか、どの供給品はオンデマンドで輸送するのが最良かを判断できるよう支援しています。また、LLamasoft テクノロジーを活用することで、冷蔵の必要性、配送頻度、供給品の重量などの可変要因をもとに最適な輸送手段を決定することができます。配送最適化が必要なその他供給品には、ワクチン、ラボ用サンプル、血液、避妊用品、母子保健用品などがあります。